活字書体をつむぐ

Blog版『活字書体の総目録』

09D レアリスト・サンセリフ

第二次世界大戦後になると、サン・セリフ体はスイス・スタイルのデザイナーの支持を集めた。幾何学的なサン・セリフ体は敬遠され、19世紀のふるい時代のサン・セリフが再使用されるようになっていった。バウワー活字鋳造所では1956年に「フォリオ (Folio) 」を発表している。

1957年にスイスのハース活字鋳造所から発売された「ノイエ・ハース・グロテスク」は、同社のタイプ・デザイナーであったマックス・A・ミーディンガー(1910—1980)が再設計したもので、1960年にドイツのライノタイプ社の自動活字鋳植機に適応させられるのを契機に、ラテン語でスイスを意味する「ヘルヴェチカ (Helvetica) 」と改称した。

1957年にフランスのドベルニ・アンド・ベイニョ活字鋳造所から発売された「ユニヴァース (Univers) 」は、タイプ・デザイナー、アドリアン・フルティガー(1928—2015)によって制作された。本文用での使用を目的としたユニヴァースはミディアム・ウエイトが基準にされた。文字形象にも伝統的なローマン体の概念が取り入れられており、ゆったりとしたレター・スペースをもっている。

ユニヴァースは誕生から40年を経過し、活字メーカーによるアレンジによって原型を失っていった。フルティガーは1997年に、ユニヴァースを全面改刻して「ライノタイプ・ユニヴァース」として再生させた。ファミリーも59種類に展開されている。