活字書体をつむぐ

Blog版『欣喜堂立志篇』/『欣喜堂而立篇』

[和字]06 和字カーシヴ

06B-5 和字書体「まき」のよりどころ

原資料:『和英通韻以呂波便覧』(巻菱湖書、土佐・海援隊、1868年) 書方手本ではないが、幕末の三筆のひとりである巻菱湖の書いたひらがなを版下としたのが海援隊の初歩的英語教科書 『和英通韻伊呂波便覧』である。出版時に巻菱湖はすでに没しているので…

06B-4 和字書体「えど」のよりどころ

原資料:『偐紫田舎源氏』(柳亭種彦、1829年—1842年) 柳亭種彦(1783—1842)は江戸後期の戯作者である。江戸の人で、本名を高屋知久〔たかやともひさ〕、通称を彦四郎という。はじめ読本〔よみほん〕を発表、のち合巻〔ごうかん〕に転じた。 『偐紫〔にせ…

06B-3 和字書体「すずり」のよりどころ

原資料:『玉あられ』(本居宣長著、柏屋兵助ほか、1792年) 本居宣長の著書で、版木彫刻によるものである。近世の歌文に著しい誤用があるのを正そうと思い、古文の用法を思いつくままに説明したものである。 古文とは変わって近世の歌文が聞き慣れなくなっ…

06B-2 和字書体「なにわ」のよりどころ

原資料:『曾根崎心中』(近松門左衛門、1703年) 近松門左衛門(1653—1724)は、江戸中期の浄瑠璃・歌舞伎作者である。坂田藤十郎(1647—1709)のために脚本を書き、その名演技と相まって上方歌舞伎の全盛を招いた。また、竹本義太夫(1651—1714)のために…

06B-1 和字書体「げんろく」のよりどころ

原資料:『世間胸算用』(井原西鶴、1692年) 井原西鶴(1642—1693)は小説の流行作家としてつぎつぎに傑作を発表した。西鶴の作品のいずれもが、元禄の町人や武士の実生活の様相を見すえた作品である。特に晩年から没後の遺稿では、経済社会の夢と現実の落…

06B 和字カーシヴ[木版(整版)・近世活字版]

江戸時代の民間出版社による文学系の書物は、木版印刷によって製作された。彫刻によるアウトラインの単純化と力強さが顕著に見られる。 仮名草子・浮世草子・八文字屋本 元禄文化を中心とした江戸時代前期では、仮名草子・浮世草子・八文字屋本がある。仮名…

06A-2 和字書体「さがの」のよりどころ

原資料:『伊勢物語』(1608年)嵯峨本 角倉素庵(与一 1571−1632)は、希代の事業家・角倉了以の長男である。父の事業を継いで海外貿易・土木事業を推進した素庵は、また文化人としても卓越した業績を残している。晩年になって嵯峨に隠棲した素庵は、数多く…

06A-1 和字書体「ばてれん」のよりどころ

原資料:『ぎや・ど・ぺかどる』(1599年)キリシタン版 長崎が開港した翌年の1571年(元亀2年)、岬の突端には「岬の教会」とも称されたサン・パウロ教会が建立された。この教会は1601年(慶長6年)に、当時の長崎で一番大きい「被昇天の聖母教会」に建て直…

06A 和字カーシヴ[古活字版]

安土桃山時代は、長い戦国争乱の状態から急速に統一が達成され、自由闊達な人間中心の文化が展開した。雄大な城郭・社寺などが造営され、内部を飾る華麗な障屏画が描かれる一方、民衆の生活を題材とした風俗画のジャンルが確立している。 寛永年間(1624—164…