原資料 『泰山刻石』(前219年)
泰山は中国の山東省中部にある名山である。標高1,524mで、中国五岳のひとつにかぞえられる。中国全土を統一した始皇帝は、全国を巡視してその威風をしめすとともに名の知られた山に登っては遠望して神を祭った。とくに泰山では封禅の儀式をおこない、石に銘文を刻んで立てた。
これが『泰山刻石』で、以来泰山は古来信仰の対象となり、秦・漢時代から歴代皇帝が封禅の儀式をおこなうようになった。なお始皇帝が残した刻石は全部で六刻石あり、宰相であった李斯(?–前210年)の書であるといわれている。