活字書体設計1

[活字書体をつむぐ]日本・中国・欧米の書写と印刷の歴史に育まれた書体をまとめています。

9-1 『舊約全書』(1865年 美華書館)

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『舊約全書』(1865年 美華書館)

ウィリアム・ギャンブル(William Gamble、姜別利、1830−1886)は、「華花聖経書房」に1858年10月に赴任した。ギャンブルは1869年10月に辞任するまでの11年の間に、中国語の印刷技術に大きな功績を残している。

 最大の功績が木製種字と電鋳母型という活字製造法を考案したことにある。それまでは、鋼鉄への凸刻で父型をつくり、それを銅に打ち込んで母型をつくるという方法だったが、これは複雑な構成をもっている漢字の小型活字で行なうには困難がともなっていた。

 木製種字への転換は、中国における木活字の彫刻技術にもつうじており、またヨーロッパでひろく採用されていた電鋳母型を漢字活字に応用するものであった。

 漢字の部首別に活字ケースを並べる方法を考案し、組み版作業の効率化をはかったことが挙げられる。さらには漢字の頻度調査を行ない、その結果によって1フォントを6,000字(のちに6,664字に増加)とした。五号活字の彫刻は、この頻度調査により一フォントの字数が確定した1862年前後から始まったと考えられる。その1862年からは新しい印刷機械が稼働し、活字の供給量も増したことにより、印刷所がおおいに発展し、1年後には1,400万ページが印刷されたそうだ。

 この方法で製造された五号活字をもちいて印刷された代表的な書物が『旧約全書』(上海・美華書館、1865年)である。ハンディ・サイズの聖書である。