09A 呉竹体
一般的にはゴシック体とよばれ、明朝体、安智(アンチック)体とともに、現代日本語書体における主要3書体としたい書体である。しかしながらゴシック体とは西洋からの外来語であり、漢字書体には不似合いに思われた。中国では、黒体としているようだがピンと来ない。そこで工夫して、分類名としては、呉竹体とすることを考えついた。
[GOTHIC]
欧字書体としてのゴシック(GOTHIC)は、『BOOK OF SPECIMENS』(平野活版製造所、1877年)にあらわれている。
[五號ゴチック形]
『座右之友』(東京築地活版製造所、1895年)に掲載された「五號ゴチック形」がある。欧字書体の名称からヒントを得て、隷書体や江戸文字の看板文字などを参考にしながら、活字書体として熟成されていったのではないかと推測される。
図版:『座右之友』(東京築地活版製造所、1895年)