活字書体をつむぐ

Blog版『活字書体の総目録』

0-2 文と字と

膨大な字数の漢字だが、大きく分けると「文」と「字」になる。「文」は、これ以上分解できない単体の文字、「字」は、「文」を組み合わせて作られた複体のものをさしている。最初に「文」が作られて、それを基にして「字」が作られたとされる。全部合わせて「文字」になる。ちなみに「名」は文字のふるい言いかたである。

[文〔もん〕とは]

「文」とは着物をかさねて胸元で襟がきれいにそろった象形で、「あや」すなわち、模様、飾りをあらわしている。単体の漢字「文」にあたるのが、象形と指事である。「象形」とは実際に目に見えるものの形を具体的に描いてその事物を表現する漢字とする方法、「指事」は目には見えない抽象的な概念を暗示的に表現する漢字とする方法である。

[字とは]

「字」とは家の中で子供を養い育てる意味をあらわす形声で、生む、増えるということをあらわすようになった。複体の漢字「字」にあたるのが、会意と形声である。「会意」と「形声」の違いは、構成する要素が「会意」ではすべて意味を表すのに対し、「形声」ではどれかひとつが発音を示しているということである。