活字書体をつむぐ

Blog版『活字書体の総目録』

和字・漢字・欧字書体の混植

漢字・和字・欧字書体の調和

現代日本語の表記が漢文訓読文から発展したと考えれば、日本語書体は漢字が中心である。漢語や語幹を漢字で書くという文章の構造からいっても、漢字を軸として和字や欧字を交えるとするのが本筋のようでもある。

近代金属活字が伝来した明治時代以降においては、中国でデザインされた漢字書体に調和するように、日本で和字書体を合わせてきた歴史がある。また字数からいえば全体の大半を占めているのが漢字である。数の多さは書体設計の制作時間に比例する。

いっぽうでは、日本語の表記が日本古来の和語(やまとことば)に外来語である漢語をまじえたものだということもできる。すなわち和語を和字で書き、漢語を漢字で書くというのが基本とする考え方である。和字はもともと漢字からつくられたのであるが、けっして漢字に従属するものではない。

現代の日本語では、漢字と和字というまったく性格の異なる文字体系を混在させて文章を組みあげている。和字書体だけではわかりにくい表記になるし、漢字書体だけでも現代日本語は組めないのである。

それぞれの歴史をきざんできた、漢字・和字・欧字書体の調和を考えることが大切なのである。理に適った組み合わせは、新しい創造なのではないだろうか。それぞれの歴史をきざんできた、漢字・和字・欧字の調和を考えることが大切なのである。

 

和字・漢字・欧字書体の混植

和欧混植ということは日常的におこなわれている。同じように和漢混植が通常の方法として定着すれば、日本語の組み版もイメージがひろがっていく。すなわち和漢欧混植ということである。日本語の組み版においては、漢字・和字・欧字の書体の調和を考えることが大切なのである。

多くのタイポグラファがあたりまえのように和漢欧混植をおこなうようになることを期待したい。和漢欧混植こそが日本語のタイポグラフィの基本であり、さらに深くデジタル・タイプの多様性を追求することが可能になるのである。

現代日本語の表記は、漢文訓読文から発展したと考えられる。もともと漢字カタカナ交じり文であり、漢語や語幹を漢字で書くという文章の構造から、漢字を軸として和字や欧字を交えると考えられる。近代金属活字が伝来した明治時代以降においては、中国でデザインされた漢字書体に調和するように日本で和字書体を合わせてきた歴史がある。

漢字は中国から輸入したものであり、書体設計もまた中国から導入されたものである。現状において漢字書体はおもに明朝体だけに縛られているが、これは残念なことだ。和漢混植のためには、漢字書体の選択肢がもっとふえることが必要である。中国の真書体系統の刊本字様は明朝体だけではなく、宋朝体元朝体・明朝体清朝体と変遷してきたのである。

日本語の表記が日本古来の和語(やまとことば)に外来語である漢語をまじえたものだということもできる。書体としての和様・御家流はすたれたが、和語を和字で書き、漢語を漢字で書くというのが基本とすることもできるのではないだろうか。活字書体においては、和字書体を基幹として、和字書体に調和する漢字書体を選択することもできるのである。

中国で設計された漢字書体にたいし、和字書体は日本で歴史をきざんできたのである。それぞれの歴史をきざんできた、漢字・和字・欧字の書体の調和を考えることが大切なのである。理に適った組み合わせは、新しい創造なのではないだろうか。

 

和字書体に独立した名称を

中国で設計された漢字書体にたいし、和字書体は日本で歴史をきざんできた。和字はもともと漢字からつくられたが、平安時代から千二百年以上にわたって日本で使われてきた。けっして漢字に従属するものではないのである。

当然のことながら、中国語においては漢字だけで文章が組める。欧米各国語においては欧字だけで文章が組める。わが国では漢字・和字・欧字を必要とするのであるが、わが国独自の和字書体をもっと大切にしたいと思うのである。

これまでしるしたように、和字書体も欧字書体に優るとも劣らない歴史を日本において刻んできている。その種類も遜色のないものであることがわかってきた。これらの書体がファミリーも含めて実用化されることにより、欧字書体にも負けない系統化された書体群が成立する。

そこで和字書体は漢字書体に従属するという考えから脱して、それぞれが独立した書体名称をもつことを提案したい。