活字書体設計1

[活字書体をつむぐ]日本・中国・欧米の書写と印刷の歴史に育まれた書体をまとめています。

11 サン・セリフ体(前期)

1816年にウィリアムス・キャズロン四世によって金属活字のサン・セリフ体が発表された。サン・セリフ体はスラブ・セリフ体からの変形とも見られるが、19世紀のドイツでは「ステイン・クリフト(石の文字)」と呼んでいたことから、サン・セリフ体の起源を古代ギリシャの石碑文とする意見もある。

 

イギリス

サン・セリフ体が本格的に印刷用活字書体として使用されるのは1830年代だ。キャズロン活字鋳造所では古代ギリシャを意味する「ドーリック (Doric) 」と呼んでいた。

 ちなみに、ヴィンセント・フィギンス(1766—1844)が1832年に「サン・セリフ(Sans-Serif)」と名をつけてから、サン・セリフ体として定着したようである。

 

ドイツ

ウィリアム・ソローグッド(?—1877)は「グロテスク」と名づけているが、1897年にドイツ・ベルリンのベルトルド活字鋳造所が製作した活字書体が「アクチデンツ・グロテスク (Akzidenz Grotesk) 」である。アクチデンツ・グロテスクは1906年までに四種類のウエイトが展開されている。

 

アメリカ

アメリカでは1837年にボストン活字鋳造所が「ゴシック」という名前をつけて、イギリスとの差異化をはかった。しかしながら「ゴシック」とは本来はブラック・レター体を意味するので、まぎらわしい呼び方になった。アメリカ活字鋳造会社のモリス・フラー・ベントン(1872—1948)は1905年に「フランクリン・ゴシック (Franklin Gothic) 」を発表している。