活字書体設計1

[活字書体をつむぐ]日本・中国・欧米の書写と印刷の歴史に育まれた書体をまとめています。

10 スラブ・セリフ体

スラブ・セリフ体の先駆としてあげられる書体に「アンティーク (Antique) 」がある。ジョゼフ・ジャックソン(1733—1792)の弟子ヴィンセント・フィギンス(1766—1844)によって1815年に制作された。1817年に発行された見本帳に4サイズの「アンティーク」が掲載されている。わが国では「アンチック」とも呼ばれている。

 キャズロン活字鋳造所で働いていたトーマス・コットレ(?—1785)の弟子ロバート・ソーン(1754—1820)の制作したスラブ・セリフ体は、ウィリアム・ソローグッドによって「エジプシャン (Egyptian) 」と名づけられ、1820年に売りだされた。当時のイギリスのエジプト・ブームに便乗した命名だったそうである。ロバート・ソーンは、ステムとバーのコントラストを極限まで強めた広告用書体「ファット・フェイス (Fat Face) 」を1803年ごろに制作した人だ。

 ロバート・ベズリによる「クラレンドン (Clarendon) 」は1845年にイギリスのファン・ストリート活字鋳造所でうまれた。その名称はオックスフォード大学の印刷所だったクラレンドン・プレス(大学の総長をつとめたクラレンドン伯爵を冠する)に由来するといわれている。このことから、オックスフォード大学が出版する辞書のために作られたという説もある。