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タイプフェイスデザイン・探訪1

[活字書体をつむぐ]日本・中国・欧米の書写と印刷の歴史に育まれた書体をまとめています。

10 えみし(アンチック体)

欧字書体としてのアンチック(Antique)は、『活版様式』(平野活版製造所、1877年)にあらわれている。スラブセリフと呼ばれるカテゴリーに属する書体である。『活版様式』にはゴシック(Gothic)という書体も掲載されている。

 漢字書体としてのアンチック体は、『座右之友』(東京築地活版製造所、1895年)および『富多無可思』(青山進行堂、1909年)に掲載された「五號アンチック形」がある。

 漢字書体のゴシック体は、欧字書体の名称からヒントを得て、隷書体江戸文字の看板文字などを参考にしながら、活字書体として熟成されていったのではないかと推測される。アンチック体は、欧字書体のモダン・ローマン体、スラブセリフ体の関係を考慮にいれて、あるいは同じころに定着していった漢字書体のゴシック体を考え合わせて、より現代的に発展したと解釈したい。

 和字書体としては、辞書などの見出し語として用いられた和字書体に「アンチック体」がある。欧字書体の「Antique」の名称からとったと思われる。アンチック体とは西洋からの外来語であり、和字書体には不似合いに思われる。そこで工夫して、分類名としては「えみし」とすることを考えついた。