活字書体設計1

[活字書体をつむぐ]日本・中国・欧米の書写と印刷の歴史に育まれた書体をまとめています。

8 ひのもとのゆたか

『組みNOW』(写研、1976)の本文に使用されている和字書体は、橋本和夫(1935— )が設計したもので、「石井細明朝体横組用かな」として1970年に商品化されている。「石井細明朝体横組用かな」「石井細明朝体縦組用かな」は2書体あるかのようだが、4字ほどが違うだけで同じ書体である。

 スタイルの名称としては、「ひのもとのいぶき(オールドスタイル)」「ひのもとのさかえ(ニュースタイル)」に合わせて、これを「ひのもとのゆたか(モダンスタイル)」ということにする。

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 この書体が発表された昭和40年代には、和字書体の字面を大きくして漢字書体とあわせようとする傾向にあった。この傾向が顕著に見られるようになったのは、平成年代になってから開発された平成明朝体、小塚明朝などである。

 昭和30年代の金属活字のなかにも、そのスタイルの萌芽がみられるようにも感じられる。その例として、『死を開く扉』(高木彬光著、浪速書房、1959年)、『センサスの経済学』(児島俊弘・関英二著、農林統計協会、1964年)を挙げたい。