活字書体設計1

[活字書体をつむぐ]日本・中国・欧米の書写と印刷の歴史に育まれた書体をまとめています。

2-2 『伊勢物語』 嵯峨本

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伊勢物語』(1608年)嵯峨本

角倉素庵(与一 1571−1632)は、希代の事業家・角倉了以の長男である。父の事業を継いで海外貿易・土木事業を推進した素庵は、また文化人としても卓越した業績を残している。晩年になって嵯峨に隠棲した素庵は、数多くの書物を刊行した。これを出版地の名称にちなんで「嵯峨本」とよぶ。

 嵯峨本は雲母模様を摺った料紙を使用するなどした、豪華な装幀が特徴である。また従来の漢文の書籍に対して、古典文学の出版の道を開き、また冊子に純粋な日本画を挿入する様式を決定するなどの江戸時代の出版文化の隆盛に画期的な役割をはたした。

 嵯峨本に使用された木活字の版下を揮毫したのが本阿弥光悦だとされている。流麗な和様の漢字と和字で組まれているが、和字の活字の多くは一字ずつを彫らないで、二、三字を一個の活字に彫った、いわゆる連続活字になっている。

 

活字書体「さがのM」

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