活字書体設計1

[活字書体をつむぐ]日本・中国・欧米の書写と印刷の歴史に育まれた書体をまとめています。

4-4 『南宋羣賢小集』(1208−1264年 陳宅書籍鋪)

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南宋羣賢小集』(1208−1264年 陳宅書籍鋪)

南宋首都であった臨安城中の棚北大街には多くの書坊が建ち並んでいたといわれるが、そのなかでも陳起(生没年不詳)による陳宅書籍鋪が刊行した書物が注目をあびた。「臨安書棚本」とは、狭義には陳宅書籍鋪の書物を指す。

 宋朝の国力の衰えた時期にも、臨安の街ではまだ活発な商業活動が行われていた。陳宅書籍鋪では、整然として硬質な字様を完成させたが、この字様によって書写から独立した「工芸の文字」が誕生することになったといえる。

 陳起は浙江銭塘〔せんとう〕の人で、字を宗之、号を芸居という。豪放磊落な性格だったと伝えられている。多様な才能の持ち主で、出版者としての業績だけでなく、詩や絵などもよくしたということだ。

 とくに詩の選集を多数刊行したことで知られる。現代まで伝わっているものには『周賀詩集』『王建詩集』『朱慶餘詩集』『唐女郎魚玄機詩集』などがある。

 また、陳起は才能に恵まれながらも無名だった民間の詩人たちと親交を結び、その作品が世に広まり伝わることに力を尽した。『江湖集』『南宋羣賢小集』の編纂・刊行である。

南宋羣賢小集』の羣賢とは大勢の知識人のことである。『南宋羣賢小集』の58種95巻のうちには、『雲泉詩』『龍州道人詩集』『順適堂吟稿』『適安蔵拙余稿』『梅花衲』などが含まれている。

 

活字書体「陳起」

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