活字書体設計1

[活字書体をつむぐ]日本・中国・欧米の書写と印刷の歴史に育まれた書体をまとめています。

11-1 『座右之友』(東京築地活版製造所、1895年)より「五號ゴチック形文字」

19世紀の呉竹体の見本としては、『座右之友』(東京築地活版製造所、1895年)の86ページに掲載されている「五號ゴチック形文字」がある。20世紀の呉竹体に比べるときわめてシンプルで、棒のようなもので書いたイメージがある。 この「五號ゴチック形文字」に…

10-1 『座右之友』(東京築地活版製造所、1895年)より「五號アンチック形文字」

漢字書体としての安智体としては、『座右之友』(東京築地活版製造所、1895年)の86ページおよび『富多無可思』(青山進行堂活版製造所、1909年)の47ページに掲載されている「五號アンチック形文字」がある。 「五號アンチック形文字」は、もともと江戸時代…

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Gill SansEric Gill,1928-1932(Monotype)「ギル・サン」は、エリック・ギル(1882-1940)によって設計され、1928年と1932年の間にモノタイプ社が発表しました。より古典的であり、ペンで書かれた文字にルーツを持っているので、ヒューマニスト・サンセリフに…

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Akzidenz Grotesk Next2007(Berthold)「アクチデンツ・グロテスク」は、ヘルマン・ベルトルト(1831-1904)のベルトルド活字鋳造所が1896 年に発表したサンセリフ体で、後に誕生した「ヘルヴェチカ」のもとになったとも言われています。2007年には「アクチデ…

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ClarendonHermann Eidenbenz,1953(Linotype)「クラレンドン」は、1845年にデザインされたオリジナルをもとに、1953年に、エドアール・ホフマンのもとでヘルマン・アイデンベンツ(1902-1993)によって復刻されました。 RockwellFrank Hinman Pierpont,1934(M…

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Century Old StyleMorris Fuller Benton,1906(Monotype)「センチュリー・オールドスタイル」は、フラー・ベントン(1872-1948)が、リン・ボイド・ベントン(1844—1932)とモリス・テオドール・ロゥ・デ・ヴィネ(1828—1914)によって1895年に制作された書体…

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DidotAdrian Frutiger, 1991 (Linotype)「ディド」は、1783年にパリでファーミン・ディド(1764−1836)によって設計された書体をベースに、1991年にデジタルタイプとして、アドリアン・フルティガー(1928−2015)によって設計されました。 BodoniGiambattist…

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BaskervilleJohn Baskerville,1706-1775 (Linotype)「バスカーヴィル」は、ジョン・バスカーヴィル(1706−1775)の活字書体をモデルに、1923年にジョージ・ウィリアム・ジョーンズ(1860-1942)によって複刻されました。 Fournier Pierre Simon Fournier,171…

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Snell RoundhandMattew Carter, 1965 (Linotype)「スネル・ラウンドハンド」は、17世紀後半のチャールズ・スネル(1667−1733)の書字をベースに、マシュー・カーター(1937− )によって1965年に制作されたスクリプト体です。 ShelleyMattew Carter,1972 (Lin…

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Van DijckRobin Nicholas, 2001 (Monotype)「ファン・ダイク」は、2001年にモノタイプ社のロビン・ニコラス(1947– )によって、17世紀のオランダを代表する活字父型彫刻師クリストフェル・ファン・ダイク(1601–1669)の活字書体を復刻した書体です。 Adobe…

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BemboAldus Manutius, Francesco Griffo,Frank Hinman Pierpont,1929 (Monotype)「ベンボ」は1929年に、モノタイプ社のフランク・ヒンマン・ピアポント(1860-1937)がデザインした書体です。ビエトロ・ベンボの著作『デ・アテナ』を印刷するために、1495年…

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Blado Ludovico Degli Arrighi, Stanley Morison, 1923 (Monotype) 「ブラドー」は、1526頃に制作されたアルダス・マヌティウスとルドヴィコ・デリ・アリッギの活字に基づいて、1923年にスタンリー・モリソン(1889-1967)によって復刻されたイタリック体で…

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Adobe Jenson Robert Slimbach, 1990 (Adobe) 「アドビ・ジェンソン」は、ニコラ・ジェンソンのローマン体をもとに、ロバート・スリムバック(1956- )によって設計された書体です。 Centaur Nicoras Jenson, Bruce Rogers, Frederic Warde,1928-1930 (Monot…

12-2 『フツーラ書体見本帳』(バウワー活字鋳造所、1927年)より

パウル・フリードリヒ・アウグスト・レンナー(1878−1948)は、バウワー活字鋳造所との共同作業によって、幾何学的な考え方で制作された書体「フツーラ(Futura)」を1927年に発表しました。そこで『フツーラ書体見本帳』から抽出したキャラクターをベースに…

12-1 『ザ・フローラン』(1930年)より

碑文彫刻家のエリック・ギル(1882−1940)は、モノタイプ社のためにサン・セリフ体「ギル・サン (Gill Sans) 」を設計し、1928年に発表しました。そこで、『ザ・フローラン』(1930年)のエリック・ギルの特集記事での組見本などから抽出したキャラクターを…

11-1 『ノイエ・グラフィーク』(1958年)より

「アクチデンツ・グロテスク (Akzidenz Grotesk) 」は、1898年にドイツ・ベルリンのベルトルド活字鋳造所が製作した活字書体です。 そこで『ノイエ・グラフィーク』(1858年)所収の使用例から抽出したキャラクターなどをベースに、日本語組み版に調和するよ…

10-1『印刷活字総合見本帳』(ファン・ストリート活字鋳造所、1857年)

ロバート・ベズリによる「クラレンドン (Clarendon) 」は1845年にイギリスのファン・ストリート活字鋳造所でうまれました。その名称はオックスフォード大学の印刷所だったクラレンドン・プレス(大学の総長をつとめたクラレンドン伯爵を冠する)に由来すると…

9-1 『アメリカ活字鋳造会社活字書体見本帳』(1906年)

デ・ヴィネ・プレスが印刷していた雑誌『センチュリー・マガジン』のための専用書体としてテオドール・ロゥ・デ・ヴィネ(1828—1914)が設計し、リン・ボイド・ベントン(1844—1932)がみずからの彫刻機をもちいて1895年に作られたのが「センチュリー」です…

8-1 『チメリオ・ティポグラフィコ』(1990年 復刻版)

ジャンバティスタ・ボドニ(1740−1813)は、パルマ公国印刷所のあたらしいローマン体を設計しました。モダン・ローマン体のうち、代表としてボドニの書体を選択、『チメリオ・ティポグラフィコ』(1990年 復刻版)から抽出したキャラクターをベースに、日本…

7-1 『田園詩と農事詩』(1757年)

ジョン・バスカーヴィル(1706−1775)の活字は、オールド・ローマンの影響を残しながらも、コントラストを強めた水平垂直にちかい骨格になっています。代表的なトランジショナル・ローマン体として、バスカーヴィル活字を選択しました。 そこでバスカーヴィ…

6-1 『活字書体見本帳』(フライ・アンド・スティール活字鋳造所、1795年)

チャンセリー・バスタルダは印刷用活字書体として成立し、イタリック体として発展していきましたが、その一方で、個人的で優美な曲線への欲求は銅版印刷へとむかっていきました。 金属板にじかに彫刻する方法(エングレーヴィング)での銅版印刷は1420年から…

5-1 『The Diary of Lady Willoughby』(1844年)

18世紀のイギリスはオランダのローマン体が流行していましたが、ウィリアム・キャズロン(1692−1766)の活字は、洗練さをくわえたことによって「イギリス風で快い」という称賛をえたのです。 そこで後期オールド・ローマン体のキャズロン活字(再鋳造)が使…

4-1 『ミラノ君主ヴィスコンティ家列伝』(1549)

ヴェネチアのアルダス・マヌティウス(1449−1515)の工房において、フランチェスコ・グリフォ(1450?−1518?)の手になる活字書体が誕生し、ビエトロ・ベンボ(1470−1547)の著作『デ・エトナ』(1495−1496)に使われました。さらにパリのクロード・ギャラモ…

3-1 『Vita sfortiae』(1539年)

ヒューマニストのあいだで流行していたチャンセリー・バスタルダを、はじめて金属活字として鋳造したのがヴェネチアの印刷人アルダス・マヌティウス(1449−1515)と、活字父型彫刻師フランチェスコ・グリフォ(1450?−1518?)でした。 16世紀には、手書き書法…

2-1 『博物誌』(プリニウス著、1472年)

ジェンソン活字を使用したのがプリニウス著『博物誌』(1472年)です。紀元1世紀の著述家プリニウスの現存する唯一の著作で、古典ローマ世界のあらゆる知識を網羅した百科全書をして知られています。このジェンソン活字による『博物誌』は、活字版印刷史上も…

1-1 『42行聖書』(1455年)

10世紀から11世紀になると、アンシャル系のカロリンガ・ミナスキュールはラスティック・キャピタルと結合して「ラスティック・カロリンガ」とよばれる過渡期の書体となり、ブラック・レターとしての特徴が顕著になっていきました。 15世紀になると教会専用の…

(参考)現在のデジタルタイプから01

Textur Gotisch Roland John Goulsbra, 2002 (Linotype) 「テクストゥール・ゴシック」は、ローランド・ジョン・Goulsbra(Roland John Goulsbra)が2002年に新しく設計した書体です。 Clemente Rotunda Philip Bouwsma, 2001 (Monotype) 「クレメンテ・ロト…

12 サン・セリフ体(後期)

第二次世界大戦前の様相 イギリスでは、エドワード・ジョンストン(1872—1944)がロンドン鉄道局のために1916年にデザインしたサイン用のサン・セリフ体をデザインしている。このサン・セリフ体は19世紀のサン・セリフ体とはことなり、インペリアル・キャピ…

11 サン・セリフ体(前期)

1816年にウィリアムス・キャズロン四世によって金属活字のサン・セリフ体が発表された。サン・セリフ体はスラブ・セリフ体からの変形とも見られるが、19世紀のドイツでは「ステイン・クリフト(石の文字)」と呼んでいたことから、サン・セリフ体の起源を古…

10 スラブ・セリフ体

スラブ・セリフ体の先駆としてあげられる書体に「アンティーク (Antique) 」がある。ジョゼフ・ジャックソン(1733—1792)の弟子ヴィンセント・フィギンス(1766—1844)によって1815年に制作された。1817年に発行された見本帳に4サイズの「アンティーク」が…

9 モダン・ローマン体以後

アメリカ リン・ボイド・ベントン(1844—1932)といえば、機械式活字父型(母型)彫刻機(略称ベントン彫刻機)の発明で知られているが、活字書体開発にも携わっている。その代表的な活字書体がテオドール・ロゥ・デ・ヴィネ(1828—1914)と共同で作った「セ…

8 モダン・ローマン体

フランス フランスのフェルミン・ディド(1764—1836)は、ステムが直線的に構成されるという特徴がある新しい活字書体「ディド (Didot) 」を設計した。現在モダン・ローマン体として知られているスタイルである。 ディド家は18世紀から19世紀にかけて、印刷…

7 トランジショナル・ローマン体

イギリス トランジショナルとは「過渡期の」という意味の形容詞である。オールド・ローマンからモダン・ローマンへの過渡期のローマン体ということだ。 代表的なトランジショナル・ローマン体が「バスカーヴィル (Baskerville) 」である。イギリスのジョン・…

6 スクリプト体

チャンセリー・バスタルダは印刷用活字書体として成立し、イタリック体として発展していったが、その一方で、個人的で優美な曲線への欲求は銅版印刷へとむかった。 銅版印刷とは、銅製の一枚板を使った凹版印刷の一種である。活字版が陽刻・凸状の版になるの…

5 オールド・ローマン体(後期)

オランダ 17世紀のオランダを代表する活字父型彫刻師としてクリストフェル・ファン・ダイク(1601−1669)がいる。ファン・ダイクは、当時最高水準にあったアントワープのプランタン印刷所で、ギャラモン活字をしっかりと研究していたと推測されている。した…

4 オールド・ローマン体(前期)

イタリア アルダス・マヌティウス(1449−1515)の工房の建物はヴェネチアに残されており、壁面にはアルダスの事跡をしるしたプレートが付けられている。この工房において、多数のギリシャ・ローマ時代の古典文学を出版した。 ビエトロ・ベンボ(1470—1547)…

3 イタリック体

チャンセリー・カーシヴはローマ教皇庁に勤める書記官が様式化したルネサンス期の書法である。チャンセリーとは教皇庁と教会とをむすぶ通信機関である「教皇庁尚書院」をさすことばで、カーシヴとは筆記体をあらわす。すなわちチャンセリー・カーシヴは書記…

2 ヴェネチアン・ローマン体

ヒューマニズム( humanism 人文主義)とは、ギリシャ・ローマの古典研究によって普遍的な教養を身につけるとともに、中世のキリスト教を中心とした社会から人間を解放し、人間性の再興をめざした精神的な運動である。ルネサンス期に、イタリアの商業都市の…

1 ブラック・レター体

テクストゥール(Textur) 10世紀から11世紀になると、アンシャル系のカロリンガ・ミナスキュールはラスティック・キャピタルと結合して様式化がすすんでいった。「ラスティック・カロリンガ」とよばれる過渡期の書体で、ブラック・レターとしての特徴が顕著…

(参考)現在のデジタルタイプから00

Lithos Carol Twombly, 1989 (Adobe) 「リトス」は、キャロル・トゥオンブリー(Carol Twombly , 1959– )が、1989年にアドビシステムズのために設計した欧字書体です。古代ギリシャの碑文書体に触発されてはいますが、忠実に再現したというのではなく、より…

はじめに キャピタルとミナスキュール

インペリアル・キャピタル(Imperial capital) ローマ帝国の碑文書体 ローマ帝国は、紀元前8世紀ごろ、ラテン人がイタリア半島のテベレ川下流域に建てた古代都市国家にはじまる。紀元前272年イタリア半島を統一し、ポエニ戦争に勝利して地中海沿岸一帯を支…

(参考)『沿溝書体スタイルブック』(草間京平著、日本孔版文化の会、1952年)

『沿溝書体スタイルブック』(草間京平著、日本孔版文化の会、1952年) 草間京平(1902—1971)は東京・芸術倶楽部35号室に「黒船工房」の表札を掲げて、宮城三郎とともに謄写版印刷を本格的にはじめた。書写ゴシック体は、読売新聞の記者であった福富静児が…

12-2『センサスの経済学』(児島俊弘・関英二著、農林統計協会、1964年)

『センサスの経済学』(児島俊弘・関英二著、農林統計協会、1964年) 『センサスの経済学』は「1965年中間農業センサス副読本」とあるように、農業に関する統計調査の書物である。この書物にはゴシック体で組まれたページもある。本文の近代明朝体と対になる…

12-1『活字見本帳』(民友社活版製造所、1936年)

『活字見本帳』(民友社活版製造所、1936年) 民友社活版製造所は1901年(明治34年)に初代渡辺宗七によって東京・銀座で創業された。渡辺宗七が徳富蘇峰と親交があったことから、民友社出版部、印刷部とも業務提携をしていた。出版を中心としていた民友社が…

12 くまそ(ゴシック体)第2期

用途の拡大 『日本印刷需要家年鑑』(印刷出版研究所、1936年)に掲載された藤田活版製造所の差し込み広告に、細ゴシック活字を見ることができる。六号と9ポイントには文章組の見本もあった。 写真植字機用文字盤としては、1933年(昭和12年)にすでに石井細…

(参考)『活版見本』(東京築地活版製造所、1903年)

『活版見本』(東京築地活版製造所、1903年) 東京築地活版製造所は1903年(明治36年)11月1日に、わが国の活字版印刷史上最大規模の438ページにもおよぶ見本帳を発行した。この見本帳の編輯兼発行者は第5代目社長の野村宗十郎(1857—1925)である。この見本…

11-2『活版総覧』(森川龍文堂活版製造所、1933年)

『活版総覧』(森川龍文堂活版製造所、1933年) 森川龍文堂は1902年(明治35年)1月、森川竹次郎によって大阪に創業された金属活字鋳造と印刷機器販売をおこなう会社であった。森川健市が第二代社長に就任して、昭和初期には『活版総覧』などの活字見本帳を…

11-1『活字と機械』(野村宗十郎編輯、東京築地活版製造所、1914年)

『活字と機械』(野村宗十郎編輯、東京築地活版製造所、1914年) 『活字と機械』は、その名のとおり活字と機械の両面から大正初期におけるタイポグラフィを紹介した小冊子である。この小冊子に五號ゴチックなどの和字書体が掲載されていた。築地体の特徴をよ…

11 くまそ(ゴシック体)第1期

欧字書体としてのゴシック(Gothic)は、『活版様式』(平野活版製造所、1877年)にあらわれている。サンセリフと呼ばれるカテゴリーに属する書体である。『活版様式』にはアンチック(Antique)という書体も掲載されている。 漢字書体としてのゴシック体で…

10-3『辞苑』(新村出編、博文館、1935年)

『辞苑』(新村出編、博文館、1935年) 『広辞苑』以前に、新村出(1876−1967)の編著で『辞苑』という国語辞典が1935年(昭和10年)に発刊されていた。この『辞苑』は博文館から出版され、大ベストセラーとなっていた。『辞苑』には、見出し語にアンチック…